平成20年度 第2回 議事要旨

開催年月日 平成20年12月3日(水) 15:30〜17:30
開催場所 鉄道・運輸機構 理事会議室(22階)
出席者
  • 〔委員〕
  • 委員長 杉山 雅洋(早稲田大学商学学術院 教授)
  • 委員  岩倉 成志(芝浦工業大学工学部 教授)
  • 委員  淺井 万富(九段監査法人 代表社員)
  • 委員  二村 真理子(愛知大学経営学部 准教授)
  • 〔機構〕
  • 谷口 克己(理事長代理)、水野 喜一朗(理事)、
  • 北河 渉(鉄道助成部長)、桑原 幹幸(同部担当部長)、池田 清(同部担当部長)、
  • 豊田 伸二(特定財源管理課長)、桐生 周二(助成第一課長)、
  • 跡辺 政美(助成第二課長)、菅原 仁(担当課長)

配布資料

平成20年度 第2回 委員会資料

概要

委員会の運営について

事務局から、【資料1】により平成20年度第1回委員会の議事要旨、第三者委員会の進め方について報告。

鉄道助成業務の実施手続きに関する事項

事務局から、【資料2】により平成20年度上期の補助金交付要綱の改正等について説明。

鉄道助成業務の実施状況に関する事項

事務局から、【資料3】により平成20年度下期における鉄道助成業務の実施状況について説明。
続いて、個別案件の抽出理由について岩倉委員から説明があり、事務局から資料に基づき以下の3件を説明。

個別案件 抽出理由
(1) 幹線鉄道等活性化事業費補助
  (JR宇野線・本四備讃線)
フリーゲージトレインの導入可能性に向けた、効果的な事業であるため
(2) 地下高速鉄道整備事業費補助
  (仙台市東西線)
南北線の経営や東西線の需要予測について、市民の不安も強く注目が高いため
(3) 鉄道軌道輸送高度化事業費補助金
  (えちぜん鉄道)
多数の補助対象事業のうち、規模と金額が大きく、再生に向けて成功しつつある事例のため

鉄道助成業務に関する動き

事務局から、【資料4】により鉄道助成業務関係の平成20年度補正予算及び平成21年度予算(概算要求)について説明。

主な質疑

(委員)
【資料3】P14〜の個別案件(1)(JR宇野線・本四備讃線)では、部分的な複線化で全線の複線化と同様の効果があるということだが、節約の観点からも大変意義深い。これを適用するにあたっては、列車の本数に依存すると思われるが、本数が多いところでは実現できないのではないか。
(機構)
部分的な複線化でも、全線で6分の高速化が図れるものであり、輸送力等については、利用動向を見ながら考えられるものと聞いている。当面は安定的な定時運行や災害時等の復旧に効果が得られると思われる。
(委員)
将来、需要動向によって、JR西日本は全線の複線化を考えているのか。
(機構)
全線の複線化となると道路等の都市側との構造上の問題があり、調整等の時間もかかり、大規模な工事となる。
(委員)
現行(部分的な複線化)のままで対応可能なやり方ということか。
(機構)
そうである。現時点で、複線化と同じような効果が得られる整備ということで、でき得る限りの複線化等の工事を行うというものである。
(委員)
印象めいた話しになるが、各個別案件とも「まちづくりと連携する」という方向性が出ており、従前から言われてなかなか進まなかったものであるが、補助制度として形になってきており、これ自体はすばらしいことである。ただ、例えば、つくばエクスプレスのように、まちづくりが遅れてしまい、当初の需要や効果便益が発揮されていないということもある。機構が、きちんと需要が出ているところに補助金を入れて整備していることになると、銀行の貸し出し金利や格付けなども変わってくると思う。今後は、補助金を執行する際に、きちんとまちづくりが実行されることを自治体側に約束させるような流れが必要なのではないか。(まちづくりが進まなければ)補助率を低いものに戻すということもあり得るのではないか。
(機構)
最近は、地域のまちづくりと鉄道がタイアップするような事業が多い。また、そのような流れになっている。しかし、開発型の鉄道というのもあり、仙台市では鉄道ありきというよりも、自治体としてまちづくりに合わせた都市計画の中で東西線の整備を行っている。
(委員)
計画はそうであるが(実際にどうなるのかが問題)。今後、こういう地域が増えてくると思うと少し心配である。
(機構)
開発は行政側だけでなく、民間開発や地権者や所有者等との関係もあるので、実際にはヒモを解いてみなければわからない。
(委員)
(需要予測を)事後的に報告してもらいチェックすることは難しいか。
(機構)
あくまでも聞いて確認等するだけ。機構は補助金の執行業務のみであり、自治体のほか民間の開発事情等についてはどうしようもない。
(委員)
つくばエクスプレスの開業に伴い、幹線道路や駅前が整備されて、不動産の開発業者が先行して土地を取得して住宅開発などを行った。ところが、地価が上がってしまい、高額となって買い手がつかなくなり、新興の業者が破綻して全然まちづくりが進まない状況になった事例がある。こういう状況を調査して、自治体に情報提供してはどうか。
(機構)
(新線開業前後の)地価の状況はケースバイケースであり、その動向をつかむのは難しい。
(委員)
土地区画整理事業組合の中に一部過度な期待を持つ方々がいると、地権者がまとまらなくて、いい土地がポッカリ空いてしまうことがあるので、事前によく根回しをして合意を得る手続きを踏む必要がある。
(機構)
仙台市の場合は、地域住民に対して丁寧に説明し、都市計画にも盛り込んでいる。ただ、実際の開発は市だけではなく民間もあるので、開発具合や地価の動向については何とも言えない。
(委員)
いろいろ工夫をしても仕方がない面はある。
(機構)
我々の鉄道助成業務というのは、国からいただいた補助金を適正に効率的に執行することがメインである。それを突き詰めていけば、先生方のおっしゃるような、周辺の開発状況を踏まえて補助金を出す、また、地価の状況を調べる、ということをやっていかなければならない。ただ、機構の鉄道助成部としてどこまでできるのか、仕事の範囲を超えてしまう限界も感じる。沿線の開発状況等については、まずは、鉄道事業者に関係者と連携して(需要予測などを)しっかりとチェックしていただいて、我々は補助金が少しでも効率的になるよう指導していくのが仕事であると考える。
(委員)
鉄道の整備については、従来型の鉄道事業者を主体とする時代から、さまざまな主体が広範囲に関わる状況に変わってきており、その対応等は短期間で答えが見つかるものではないが、これを検討することも委員会に課せられた一つの課題かもしれない。
(機構)
機構のみならず、国交省、国交省の中でも鉄道部局のみならずまちづくりの部局等、関係者による役割分担が必要になる。
(委員)
国交省、機構、それぞれが役割の中でどこまでならできるのか、という方向性を今後考えなければいけないと感じる。
(委員)
まちづくりの効果がきちんと出ているのか、というこれまでの先生方の議論とは逆になるが、まちづくりと連携した高速化事業において、その計画がまちづくりと連携しているかどうかの見分け方はどのようなものか。どのようにそれがまちづくりであるという判断をしているのか。
(機構)
鉄道の高速化事業が、(P17の(参考)にある自治体の)まちづくりプログラムの中に位置づけられれば、まちづくりと連携したということになる。
(委員)
(プログラムのようなものに)記載があればいいということか。
(機構)
記載されるというよりも、自治体側が鉄道側の整備事業を意識しながら、まちづくりを行うということである。
(委員)
制度の確認になるが、(【資料4】P29の)平成21年度概算要求の倍率は、公共事業と同様に、枠として要求倍率の上限がかかっているのか。各補助金を見ると、計の値よりも倍率が大きいものもあるが。
(機構)
いわゆるシーリングという要求の上限や要求の仕方はルールがある。記載されている数値は単純には計の部分の倍率だけであり、全体の中で各補助制度をどのように要求していくかということになる。
(委員)
理解した。他にはいかがか。
(委員)
仙台市の裁判について、当初予測した需要よりも実際の利用者数が少なかったことが原因の一つだという説明があったが、鉄道を整備すれば利便性が高まらないはずはなく、当初の需要予測を多めに見積もれば助成がしやすくなるということはあるのか。
(機構)
そのようなことはない。いま、補助事業を予算採択する際の要件としてB/C(ビーバイシー:費用便益費)が「1以上」という条件があって、需要予測はこのB/Cに関わってくる。
(委員)
需要予測は、(B/CのBのうちの)いくつかの指標のひとつであるということか。
(機構)
そうである。仙台市の裁判の中でも、当初の仙台市が出したB/Cは1.6だったが、オンブズマンの主張では1.0近くまで落ちた。しかし、「1以上」は確保されており、必ずしもオンブズマンの予測手法で算定する必要もなく、仙台市の予測手法が不適切ということもないと判断されて、裁判は結審した。
(委員)
機構としては、事業主体から出されたもの(需要予測)をある程度は評価・分析しないのか。
(機構)
国が、補助事業を予算採択する際のB/Cの中と、事業許可の際の条件の中で、需要予測についてのチェックがある。機構は関わらない。
(委員)
利用実績が出始めた後、(当初予測との)差異をフォローしないのか。
(機構)
B/Cについては予算採択時と、その5年後、10年後に再び見直すこととしており、その結果中止されることもあり得る。公共事業の関係で実際に止まった事業がある。
(委員)
(このチェックを機構で行うと)審査の精度も高められていいのではないか。
(機構)
機構は、国と連絡をとりつつその指示に基づいて適正に補助金を執行することが業務であり、事業が中止されない限り補助金は出し続けるということになる。
(委員)
以前、個人的に需要予測に関わったが、(昭和46年の時点で昭和60年の予測をするもので)約15年後に実績が出たときにケタが違うような誤差の範囲を大きく超えるほどの乖離が出てしまった。予測の精度を上げるべきという指摘はよくわかるが、実際には難しい。機構としてもそこまで立ち入ることはできないであろう。
(委員)
補助金の執行業務に限ってはそのとおりである。ただ、例えば、都市利便増進などでは違ってくる。これらの事業は、建設後に延々と線路使用料を返していくスキームになっており、利用実績が使用料の額に関わり、銀行査定にも響くはずである。利用実績がよければ線路使用料がきちんと取れて、鉄道助成部が使えるお金になるのかもしれない。あるいは国に返さなければならないのかもしれないが。
(機構)
(委員)
スキーム上は国に補助金を返すことになっている。
(機構)
(委員)
実は、需要予測というのが機構の意思決定にも大きく関わっているはずで、格付けや銀行の貸し出し金利が変わるとなれば、まさに補助金執行の効率性にも影響してくる話しである。制度のスキームが変わりつつある中で、補助金の執行業務だから(需要予測とは)無関係でいいということにはならないのではないか。
(機構)
以前と違って、補助金を回収するという制度が出てきているので、そのためには事業者は利用者からしっかりと収入を得る必要があり、利用実績が上がらないといけない。需要予測等で確実に利用者が見込める路線でないと、事業者は整備しないことになる。

議題2、3、4、5についての審議は終了し、各委員が了承

委員会からの改善意見について

事務局から、【資料5】により改善意見に対する取り組み状況について中間報告。あわせて、本年8月の国土交通省独立行政法人評価委員会による機構の業務実績に対する評価を紹介し、意見として記載された「地方鉄道の支援」を継続して取り組む旨を説明。

主な質疑

(委員)
ホームページとガイドブックは非常に良くなった。もし、可能であれば、ガイドブックをPDF化してすべてホームページに載せることはできないか。機構というのは、自治体にとっては遠い存在のような印象があり、(どこからでも)すぐに入手できればいいと思う。
(委員)
今の意見は、機構内部で検討していただきたい。
(委員)
私も、ホームページはユーザーフレンドリーになったと感じる。それから、4点目の地方鉄道支援の連絡会は、鉄道事業者も含めてこれを拡大した協議会のような場で情報交換してもいいのではないか。
(機構)
この連絡会は、機構として地方鉄道支援にどう取り組むのかを内部で検討するため、立ち上げたものである。これまでも定例的に、民鉄協会、三セク協議会、鉄道総研、鉄道局など、関係機関が集まって、それぞれの取り組みや活動状況等の情報交換を行っており、その場でも機構内部の各部署が連携して地方鉄道支援を行っていくことを披露している。
(委員)
(すでに情報交換を行っているのであれば)成果として、資料に記載した方がアピールできていいのではないか。
(機構)
連絡会においては、技術情報の提供やアドバイスのあり方等を、まずは機構内部で検討したい。その中で、機構だけの対応に限界が出てくれば、情報交換会において関係機関の方々と議論させていただきたいと考える。
(委員)
この連絡会は、まだこれからもやるのか。意義のあることをやっているのであるから、積極的にアピールしていいと思う。
(機構)
今年度行っている調査の結果を踏まえて、再び連絡会を開催することになる。情報交換会については改めて情報提供したいと考えている。
(委員)
地方鉄道支援は大変重要な取り組みであり、さきほどの情報交換会には鉄道局も関わっていると聞いたが、本年6月に出された審議会の答申(交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会)は、まさに、地方鉄道の活性化を進めていくべきと示されており、鉄道局とも連携しながら進めてもらいたい。
(委員)
ガイドブックは、地方鉄道の事業者には全て行き渡っているのか。
(機構)
事業者、自治体、国も含めた関係団体の(補助金業務の)担当者に必ず1部は配付している。
(委員)
個人的には重宝しており、学生にとっても貴重な情報源であるので、事業者のみならず、鉄道に関心の高い多くの人に活用されるのが望ましい。
(機構)
当面は、問い合わせていただければ対応できると思う。
(委員)
第1回の委員会で提出した4点の改善意見については、現在まで順調に取り組まれている。今後も、これに甘んじることなく取り組みを続けていただきたい。また、情報をできる限り外部に活用していただくことを内部で検討していただきたい。

議題6についての審議は終了し、各委員が了承

最後に、委員長から本日の議論について以下のとおり総括があった

  • ○議題全般について、順調に進められているものと評価する
  • ○今後は、機構においても、鉄道整備に関して鉄道事業者のみならずさまざまな主体が関わる時代になったことを念頭に置きつつ、より広汎な視点で業務を遂行するよう期待する

その他

本年度末をもって全委員の任期が終了するため、次回委員会で審議を行う鉄道助成業務の実施状況に関する個別案件を抽出する委員については、全委員の人選が決まり次第、事務局と相談した上で改めて選任することとなった。