海外業務実績の概要(2023年度)
令和5年度
1.海外高速鉄道調査等業務
海外インフラ展開法及び同法に基づく基本方針に従い、関係府省、我が国事業者等と相互に連携を図りながら、以下のとおり海外高速鉄道調査等業務を適切に行いました。
(1)インド高速鉄道計画
インド高速鉄道計画について、国土交通省等の関係者との緊密な連携の下、(一社)海外鉄道技術協力協会(以下「JARTS」という。)発注の「インド軌道建設業界への人材育成業務」において研修教材作成等を行いました。
JICC(日本コンサルタンツ(株)を中心としたコンソーシアム)が実施する軌道工事の施工監理業務に職員 2 名が従事し、技術支援を行いました。
令和 3 年度に東日本旅客鉄道株式会社及び(株)海外交通・都市開発事業支援機構(以下「JOIN」という。)との共同出資により設立した日本高速鉄道電気エンジニアリング(株)(以下「JE」という。)に対して、役職員6 名を派遣し、技術支援を行いました。
JE 事業については、事業の進捗状況や資金収支等の把握及び分析を行い、海外高速鉄道調査等業務に係る出資に関する第三者委員会に諮問を行うなど、適切にモニタリングを実施しました。
JE 設立及び JE への技術支援を行ったこと等により、電力パッケージ(EW-1)について、我が国事業者が受注しました。
(2)スウェーデン高速鉄道
両国間で続けてきた技術交流の成果等を踏まえ、国土交通省より受注し、交通インフラ整備計画に関する調査を実施しました。本調査においては、ヤルナ・リンショッピン間の高速鉄道計画を念頭に整備新幹線の知見を活かした事業費削減手法を提言しました。また、同国の交通インフラ整備計画に対する本邦企業の参画可能性について、両国の関係団体・企業に対しヒアリング等を行い、参画に対する課題の整理、参画可能性のある分野について検討を行いました。
2.国際協力業務
(1)海外への専門家派遣及び各国研修員等の受入
令和 5 年度の専門家派遣、研修員受入の実績については専門家派遣 30 人、研修員等受入 59 人でした。
専門家派遣数の推移(令和元 年度~令和5 年度)
※令和2年度・3年度は、コロナ感染拡大に伴い派遣を見合わせた。
年 度 | 元 年度 | 2 年度 | 3 年度 | 4 年度 | 5 年度 |
専門家派遣数(人) | 40 | 0 | 0 | 20 | 30 |
研修員等の受入数の推移(令和元 年度~令和5 年度)
※令和2年度・3年度は、コロナ感染拡大に伴い研修員等の受入を見合わせた。
年 度 | 元 年度 | 2 年度 | 3 年度 | 4 年度 | 5 年度 |
研修員等受入数(人) | 435 | 0 | 0 | 25 | 59 |
また、(独)国際協力機構(以下「JICA」という。)内に設置されているインド国高速鉄道建設事業に係る技術基基準/設計支援委員会・各分科会に機構職員 4 名が参加しました。更に、インド国高速鉄道プロジェクト電気パッケージ詳細設計に係る国土交通省第三者委員会・各分科会に機構職員 1 名が参加しました。
(2)国際学術会議等への参加
JRTTは、世界の鉄道技術関係者との交流を図り、日本の鉄道システムの海外展開の一助となし、また、JRTTの鉄道建設に関する技術力についてアピールすること等を目的として、国際学術会議等へ参加し、講演やプレゼンテーションを実施しました。
会議等名 | 主催者等 | 開催国 (都 市) |
時 期 | 発表数(件) |
---|---|---|---|---|
第21回地盤環境工学国際合同セミナー |
地盤環境工学 韓国地盤工学会 |
韓国 |
令和5 年5 月 |
1 |
世界トンネル会議 |
国際トンネル協会 |
ギリシャ |
令和5 年5 月 |
1 |
PC橋に関する日越共同ワークショップ |
ベトナム交通科学技術研究所 公益財団法人PC工学会 |
ベトナム |
令和5 年10 月 |
1 |
持続可能な交通インフラセミナー | 運輸総合研究所 |
ベトナム |
令和5 年12 月 |
1 |
(3)鉄道分野における規格の国際標準化
平成22年4月に、(公財)鉄道総合技術研究所内に「鉄道国際規格センター」が設立され、鉄道技術の国際標準化に戦略的に取り組んでいます。
国際規格策定の国際標準化機構/鉄道分野専門委員会(以下「ISO/TC269」という。)の国内委員会・国内作業部会、国際電気標準会議/鉄道用電気設備とシステム専門委員会(以下「IEC/TC9」という。)の国内委員会・国内作業部会に機構職員 6 名が参加し、国際規格に関する日本原案の作成等に貢献しました。
表1.2-4 ISO/TC269委員会・作業部会等(令和5年度機構職員参加)
区 分 |
名 称 |
国内委員会 |
鉄道分野 |
分科委員会 |
インフラストラクチャ |
国内作業部会 |
バラストレス軌道 |
軌道品質評価 |
表1.2-5 IEC/TC9の委員会・作業部会等(令和5年度機構職員参加)
区 分 |
名 称 |
国内委員会 |
鉄道用電気設備とシステム |
国内作業部会 |
き電シミュレータ |
交流電力補償装置 |
|
電力システム |
|
変電所用コンバータ |
|
中立セクションシステム |
|
電力SCADA |
|
UGTMS |
(4)海外関係機関との技術交流等
JRTTの技術力や経験を活用し、海外関係機関との技術交流等を行いました。
・スウェーデン
スウェーデンとの技術交流においては 2 月に開催された日・スウェーデン鉄道協力会議において、両国で設定した議題に沿ってプレゼンテーションと意見交換を行い、今後の協力方針の確認を行いました。
日・スウェーデン鉄道協力会議
・韓国
韓国との技術交流においては、9 月に韓国国土交通省、韓国鉄道公団が機構を訪問し、機構より新幹線の開業効果等について説明するとともに、青函トンネルの現地視察を行いました。
青函トンネル視察(韓国国土交通省、鉄道公団等)
・イギリス
イギリスとの技術交流においては、11 月に開催された日英鉄道協力会議に参加して、鉄道デジタル化や環境問題など幅広い分野での情報交換を行いました。
(5)人材確保、育成
海外高速鉄道調査等業務等の遂行に必要な技術力や経験の向上及び承継のため、研修及び国際業務を行う機関との人事交流を実施し、必要な人材の確保や育成に取り組みました。
令和 5 年度における研修及び国際業務を行う機関との人事交流の実績は以下のとおりです。
○研修(機構実施)
- 国際業務に係る知見を広めることを目的とした若手職員向け研修(研修出席人数 39 名)
- コンサルティング業務等実践的な内容を盛り込み国際業務に係る知見の深度化を図ることを目的とした若手・中堅職員向け研修(38 名)
- 英語力向上を目的とした国際業務に従事する職員向けの英会話研修(7 名)及び英文 Email研修(6 名)
- 英語でのプレゼンテーション能力向上を目的とした国際業務に従事する職員向けの英語プレゼンテーション研修(4名)
- 海外インフラ事業における契約スキーム(FIDIC)の基礎的知識習得を目的とした国際業務に従事する職員向けの研修(3 名)
○研修(他団体実施)
- 政策研究大学院大学が実施する海外インフラシステム展開に係る人材育成プログラムに国際業務に従事する職員が参加(2 名)
- 国土交通大学校が実施する国際関係業務の現状及び動向や、派遣専門家の活動内容、日本のインフラ技術の強み等の基本的知識を修得させることを目的とする国際建設協力に、海外業務に従事する職員が参加(1名)
○人事交流
- 国際業務を行う機関との人事交流として、国土交通省、JICA、JARTS 及び(一財)運輸総合研究所へ出向(各 1 名)