業務災害補償・石綿(アスベスト)対策等
石綿(アスベスト)による疾病に関しましては、かつて工場等で車両整備、車両の点検、修理作業等に従事された元国鉄職員の方の中から発症している事例が判明しております。
石綿による疾病は、潜伏期間が非常に長い事が特徴で、今後も石綿に関連した業務を行った方の中から疾病を発症することが予測されます。当機構では、石綿が起因とした健康被害対策として、新たに石綿による疾病を発症した方の業務災害補償、既にお亡くなられた方の遺族補償及び時効により業務災害補償の請求権が消滅したご遺族への救済を実施しています。
また、これらの業務災害補償のほかに、元国鉄職員で石綿関連業務に従事した方が「石綿健康診断」を受けるために、労働局への「石綿健康管理手帳」交付申請を行うための手続(従事歴証明書の発行)や、1回限りの「石綿健康診断」を行うための費用負担を行っております。
国鉄において石綿(アスベスト)に関連した業務を行った可能性がある職場の例
- 工場、機関区、電車区、客貨車区、自動車営業所、船舶関連等の職場において機関車、鉄道車両、自動車、船舶を検査、点検、修理または解体する業務
- 駅、操車場、車掌区、保線区、施設・電気・建築関係等の職場で石綿(アスベスト)関連部材等に接する機会があった業務。
- 石綿(アスベスト)健康診断と補償制度のお知らせ(PDF:238KB)
業務災害補償の認定申請を希望される方へのご案内
業務災害補償制度の概要(通勤災害に関する内容は省略)
皆様ご承知の通り、国鉄職員は労災法の適用除外とされ、国鉄では独自の業務災害補償制度を施行しておりましたが、国鉄解散後においても国鉄当時の業務災害に係る補償は従前のとおりに行われており、概要は次の通りです。
業務災害の認定基準
業務災害の基本的な要件は、以下(1)~(3)を満たすことが必要です。
(1) 勤務箇所又は依命行為をする場所での災害であること
(2) 勤務時間中に発生した災害であること
(3) 業務と相当の因果関係を有する災害であること
補償の内容
- 療養補償
- 治癒(症状固定を含む。)するまでの間の療養費を補償します。
- 長期傷病補償
- 療養期間が3年を経過しても治る見込みがない場合、療養の給付と傷病年金を支給します。この場合、療養補償、休業補償との併給はありません。
- 休業補償
- 療養のため勤務することが出来ず、給与を受けないときに補償します。
- 障害補償
- 治った場合で一定の障害が残った場合、その障害の程度に応じた障害年金または、障害補償一時金を支給します。
- 遺族補償
- 業務災害により亡くなられた場合、ご遺族に対し(1)殉職年金及び(2)遺族補償一時金を支給します。また、業務災害のうち石綿にさらされ、指定疾病等により亡くなられた職員のご遺族には、(1)殉職年金及び(2)遺族補償一時金に加え、平成21年4月1日から(3)石綿被害遺族補償一時金を支給しています。
(1)殉職年金: 基本給の6月分(最低保障1,966,800円)
(2)遺族補償一時金: 平均賃金の1,700日分(最低保障1,800万円)
(3)石綿被害遺族補償一時金: 1,000万円 - 葬祭料
- 業務災害により亡くなられた場合、葬祭をなさる方に葬祭料を支給します。
※平均賃金の80日分(最低保障50万円)
認定申請の手続
業務災害認定申請のおおまかな流れは以下のとおりです。
【申請に必要な書類等】
- 「災害認定申請書」記入例と様式(PDF:213KB)
- 「履歴証明願」記入例と様式(PDF:205KB)
- 「状況現認書」記入例と様式(PDF:197KB)
- 医師の診断書
- 疾病発症時の医学的資料(レントゲン・CT画像等)
- ※参照「石綿による疾病の認定基準について」(厚労省HPサイト)
国鉄当時のアスベストに係る業務により、疾病が発症したと思われる場合、次の箇所へご連絡ください。
業務災害補償業務の窓口
〒231-8315 神奈川県横浜市中区本町6-50-1(横浜アイランドタワー)
国鉄清算事業管理部 職員課
TEL.045-222-9567
≪受付時間:土・日・祝日・年末年始を除く 9時~12時、13時~17時≫
E-mail: shokuin@jrtt.go.jp
元国鉄職員に対する石綿(アスベスト)を起因とする業務災害補償等認定実績については、下記資料をご参照ください。
- 元国鉄職員に対する石綿(アスベスト)を起因とする業務災害補償等認定実績.pdf(PDF:332KB)
時効により業務災害補償の請求権が消滅したご遺族様の救済について
基本的な考え方
旧国鉄職員が、業務上、石綿(アスベスト)にばく露したことにより健康被害を受けた場合は、当機構における業務災害補償の対象となりますが、石綿による疾患については、潜伏期間が長いこと、石綿と疾患の関連性に気がつき難い等他の疾患にはない特別な事情を有しており、申請をしないまま亡くなられ時効を向かえてしまったご遺族に対して新たな救済措置を講ずることにしました。
対象となる方
指定疾病等※1により死亡されたことを証明できる旧国鉄職員のご遺族であって、時効により遺族補償給付の支給を受ける権利が消滅された方が対象となります。
※1 指定疾病等とは石綿を原因とする下記の疾病を指します。
- 中皮腫
- 肺がん※2
- 石綿肺
- びまん性胸膜肥厚及び良性石綿胸水
※2 石綿を原因とする肺がんとは、原発性(転移により、生じた肺がんでないこと)、
かつ、以下の症例のいずれかを満たす場合のことを言います。
- 石綿肺の所見が確認されること
- 肺内に一定量以上の石綿小体や石綿繊維が確認されること
- 胸膜プラーク等の医学的な所見が確認され、かつ石綿ばく露作業に10年以上従事したこと
など
給付内容
以下の給付について時効の延長がなされております。
- 特別殉職年金
基本給の6ヶ月分(最低保障 1,966,800円) - 特別遺族一時金
平均賃金の1,700日分(最低保障 1,800万円) - 特別石綿被害遺族一時金
1,000万円(平成21年4月1日から実施)
※前3つの給付は、各々の「殉職年金」、「遺族補償一時金」及び「石綿被害遺族補償一時金」と同額になっています。
受給者の範囲
配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
※特別殉職年金の受給については、続柄の他に年齢要件や生計要件等が必要です。
請求期限
令和14年3月27日まで
特別殉職年金の支給の始期及び終期
支給の始期:支給の請求をした月の翌月から起算して4年を経過したとき
支給の終期:権利消滅の月
特別殉職年金の受給権の消滅
その権利を有するご遺族が死亡された等の場合に消滅します。
元国鉄職員の石綿(アスベスト)に関する「健康管理手帳」の取得と「健康診断」受診のご案内
労働安全衛生法では、石綿関連業務に従事した方を対象とした無償の健康診断の制度があります。この制度を活用するためには、当機構より従事歴証明等の発行を受けた後、最寄の労働局へ申請し「健康管理手帳」の交付を受ける必要があります。その後、労働局に指定された医療機関にて定期的に健康診断を受けることとなります。(以下のフローをご参照下さい。)
また、健康管理手帳の交付を受けず、無償の健康診断を受診することも可能です。これは、当機構が実施している健康診断の制度です。ただし、こちらの制度での健康診断は、1回限りの受診となります。
「従事歴証明書」交付のためのフロー
「健康管理手帳」の交付のためには、当機構が交付する「従事歴証明書」等を受け取ってから、各都道府県の労働局(労働基準監督署)に申請をしていただく必要があります。
労働局(労働基準監督署)の審査後、交付要件に該当する場合に「石綿健康管理手帳(鉄道・運輸機構)」が交付されます。
- 参考:石綿健康管理手帳の交付対象業務の拡大について(厚労省HPサイト)
※当機構への申請書類
- 「健康管理手帳申請用履歴証明願」記入例と様式(PDF:149KB)
- 「国鉄在職時における職務内容自認書」記入例と様式(PDF:174KB)
※国鉄に入社後、JRで退職された方の「注意事項」について
国鉄からJRに移行して退職をされた方の「健康管理手帳」の交付のためには、石綿(アスベスト)に関連した業務期間が、旧国鉄の期間であったか、JRに移行してからの期間であったかなどの確認が必要となるため、各JRの担当者にも必ずご確認ください。
(注)JR移行後に、全く石綿関連業務を行っていない方、若しくは行っていた期間があっても、明らかに旧国鉄の石綿ばく露期間が長い方については、当機構にご連絡ください。
労働局発行の「石綿健康管理手帳(鉄道・運輸機構)」を受けた方
「石綿健康管理手帳」の交付を受けた方については、その後、無償で年二回、労働局指定の医療機関で健康診断を受けることができます。
また、受診した際の旅費(交通費)を請求することができます。
- 参考:労働局「健康管理手帳に係る健康診断受診旅費請求書」(PDF:39KB)
元国鉄職員に対する石綿を起因とする健康診断受診及び健康管理手帳交付実績については、下記資料をご参照ください。
健康診断受診及び健康管理手帳交付実績.pdf(PDF:35KB)
じん肺管理区分決定申請に係る「従事歴証明書」等交付のためのフロー
じん肺管理区分決定申請の手続のためには、当機構が交付する「従事歴証明書」等と、受診医療機関から必要な資料を入手し添付のうえ、申請者の最寄の労働局(労働基準監督署)に申請をする必要があります。
- 「じん肺管理区分申請用履歴証明願」記入例と様式(PDF:133KB)
- 「国鉄在職時における職務内容自認書」記入例と様式(PDF:174KB)
- 「じん肺健康診断とじん肺管理区分、健康管理手帳」(厚労省からの案内)(厚労省HPサイト)
「じん肺管理区分」が決定された方
「じん肺管理区分」が決定された後、当機構へご連絡ください。
健康管理手帳の交付を受けずに健康診断の「アスベストに関する健康診断受診」を希望される方へ
健康管理手帳の交付を受けず、アスベストに関する健康診断の受診を希望されている方へのご案内です。ただし、受診は1回限りです。
当機構の「アスベストに関する健康診断受診申請書」を提出してください。所定の用紙は、次の「アスベストに関する健康診断受診申請書」をダウンロード後、印刷していただくか、当管理部職員課へお電話をいただければ返信用封筒を同封のうえ郵送します。
「アスベストに関する健康診断受診申請書」の内容を確認し、問題がなければ「アスベストに関する健康診断承認書」を発行し、健康診断の費用(交通費を除く)を負担します。
- 「アスベストに関する健康診断受診申請書」記入例と様式(PDF:457KB)
当機構より承認書を受け取りましたら、添付の案内に従って、健康診断を受診してください。
なお、費用は、受診者が一旦病院へ支払い、同封の請求書に必要事項を記入し、病院発行の領収書を同封のうえ、当管理部職員課へ送付してください。後日、指定された口座に受診費用をお振込みします。
※受診できる範囲や病院等については、承認書と一緒に案内文書をご送付します。
※健康診断の受診を承認できない場合、速やかにご連絡します。
「アスベストに関する健康診断受診書」は、次の部署へご送付ください。
【申請先】
〒231-8315 神奈川県横浜市中区本町6-50-1(横浜アイランドタワー)
国鉄清算事業管理部 職員課
TEL 045-222-9567
≪受付時間:土・日・祝日・年末年始を除く 9時~12時、13時~17時≫
E-mail: shokuin@jrtt.go.jp