鉄道のある風景写真コンテスト

令和6年9月4日(水)第25回「鉄道のある風景写真コンテスト」審査会を実施しました。

今年も季節を感じる多彩な鉄道写真が多数集まりました。

入賞・入選作品は以下のとおりです。(敬称略)

受賞作品一覧

グランプリ(国土交通大臣賞)

笠井 忠

『絶景花火電車』

阪急電鉄 京都本線 十三駅~大阪梅田駅

【審査委員長講評】

 夏を代表する風物詩「花火大会」は日本全国各地で開催されますが、列車と絡められる鉄道は限られてしまいます。それにしても、見事なまでに美しい大輪の花火と列車を決めましたね。この作品は合成ではなく一枚撮りとのことです。まさに作者の想像力・ロケハン力・技量を駆使して粘り強くチャンスを待った賜物でしょう。フレーミングの良さ、シャッターチャンスの巧みさ、また、列車の窓明かりから花火を目にした乗客の歓声が聞こえてくるような臨場感あふれる作品になりました。

四季賞

春賞(鉄道・運輸機構理事長賞

小林 俊明

『たんぽぽの道』

東日本旅客鉄道 小海線 野辺山駅~信濃川上駅

【審査委員長講評】

 高原野菜が始まる季節の農道に咲くタンポポをローアングルから狙うことで、背景の八ヶ岳とローカル線に奥行きが付きました。何気ない日常の風景ですが、爽やかな高原の空気感を十分に満喫できる気持ちのいい作品になりました。

夏賞(「鉄道の日」実行委員会会長賞)

寺澤 秀樹 

『夏色風景』

三岐鉄道 三岐線 三里駅~丹生川駅

【審査委員長講評】

 夏の風景といえば青空に浮かぶ入道雲。その入道雲が川面に映りこむ姿を崩すことなく流れる小さなダムを写しこむことで清涼感あふれる、まさにタイトルの「夏色風景」が見事に表現された作品になりました。

秋賞(「鉄道の日」実行委員会会長賞

松田 喜幸

『朝霧が晴れて』

東日本旅客鉄道 北上線 ゆだ錦秋湖駅~ほっとゆだ駅

【審査委員長講評】

 朝霧・水鏡など微妙なテーマと列車を撮影する時は、思わず神頼みをすることがあるでしょう。きっと作者も完璧なフレーミングで列車の来るのを待っていたのです。朝霧が流れ、姿を現した列車をここぞというポイントのシャッターチャンスを逃すことなく決めたときは気持ちよかったことでしょう。

冬賞国土交通省鉄道局長賞

井上 修

『出力全開』

西日本旅客鉄道 山口線 徳佐駅~鍋倉駅

【審査委員長講評】

 蒸気機関車が来る前に吹雪になったとのことですが、作者は悪天候を味方につけ撮影方法を変更したとのことです。絶妙なシャッター速度を設定したことで蒸気機関車の迫力ある流し撮りの作品になりました。その上、雪の中の赤い柿の木の彩りがより作品を引き立ててくれました。

シティ・トレイン・ビュー賞

田中 祐也

『帰宅ラッシュ』

北大阪急行電鉄 南北線 緑地公園駅~桃山台駅

【審査委員長講評】

 この作品を拝見すると、まさに都会の通勤事情が見えてきます。北大阪急行は上り・下りがスムーズに行きかい、車の上下線はかなりの渋滞が見られます。しかし、鉄道の車内は帰宅客で満員なのでしょう。どちらが良いか、まさにシティ・トレイン・ビュー賞に問いかけられる様な作品になりました。

ジュニア賞

天野 和佳奈

『近代と現代』

東武鉄道 鬼怒川線 鬼怒川温泉駅

【審査委員長講評】

 鬼怒川温泉への家族旅行の合間に、鬼怒川温泉駅での蒸気機関車C11「大樹」と特急「きぬがわ」の出会いを目にした感動を素直に表現してくれました。これからも、ますます新しい鉄道の魅力にふれあい、感動してくれることを楽しみにしております。

入選

小檜山 裕行

『モルゲンロート』

阿武隈急行 阿武隈急行線 南角田駅~北丸森駅

【審査委員長講評】

 まさに「モルゲンロート」の世界ですね。朝霧に浮かぶ吾妻連峰がまるで蜃気楼のように見える幻想的な作品になりました。できれば、吾妻連峰の山並みと吾妻小富士の空との空間がもう少し入れ込むことで、山々の迫力を増すことができたでしょう。

御子貝 正仁

『燃ゆる秋』

真岡鐵道 真岡線 寺内駅~真岡駅

【審査委員長講評】

 何気なく秋の紅葉の中をのどかな煙をたなびかせながら走りゆく「SLもおか」の姿に、時代を感じさせない昔ながらの懐かしい、牧歌的な秋の一日を感じさせてくれる作品になりました。

松島 宏晶

『花桃沿線』

わたらせ渓谷鐵道 わたらせ渓谷線 神戸駅~沢入駅

【審査委員長講評】

 花桃と桜で有名な神戸駅です。この季節には多くのファンが集まりますが、多くのカメラマンは如何に花のボリュームを生かすアングルを探すのに、作者は花にかかる車両や花から続くレールにピントを合わせたことで、チョットオシャレな作品になりました。

岡田 頼和

『追憶の駅舎』

平成筑豊鉄道 田川線 油須原駅

【審査委員長講評】

 歴史ある木造駅舎の待合室を水平・垂直に気を配りながら丁寧に撮影されています。ラッチの先に見えるホームの待合室が良いポイントになりました。時代を超えて、多くの人たちが行きかった思いが込められた木造駅舎が何か語りかけてくれそうな作品になりました。

佐々木 英樹

『共演』

えちぜん鉄道 三国芦原線 大関駅~下兵庫こうふく駅

【審査委員長講評】

 朝夕の時間帯は、想像を絶する光景と出会えるまさに宝の山です。朝日が昇り、水の張った田んぼに姿形のいい白鳥の群れがシルエットで佇んでいます。そこに列車の存在感を示すかのように窓を輝かせながら走り行きます。まさに、「鉄道のある風景写真コンテスト」のお手本のような作品になりました。

山野 修一

『御輿来海岸の春』

九州旅客鉄道 三角線 網田駅~赤瀬駅

【審査委員長講評】

 静かで美しい海ですね。引き潮の時に見られるそうですが、海の千枚田みたいな風景ですね。山際を走る列車も斜光を浴びてしっかりと存在感を主張しています。鉄道のある風景写真では、どんなに列車が小さくても存在感を示さなければなりません。両方を満たした美しい作品になりました。

廣瀬 靖之

『海風に走る』

阿佐海岸鉄道 阿佐東線 海部駅~宍喰駅

【審査委員長講評】

 小さな漁港の上を線路と道路の両方を走る阿佐海岸鉄道のDMVが夏の陽射しを浴びて走っている。船にバス、バスがレールの上を走っているから列車?何か、とてもユーモアたっぷりの作品に会えたようで楽しくなってきました。

審査委員

審査委員は、下記の方にお願いしました。(敬称略)

審査委員長

猪井 貴志(写真家)

審査委員

中村  直美(㈱交通新聞社常務取締役)

竹内  健蔵(東京女子大学教授)

五十嵐 徹人(国土交通省鉄道局長)

藤田  耕三(鉄道・運輸機構理事長)

入賞・入選作品の展示

第31回鉄道フェスティバル会場(東京・お台場) 令和6年10月13日(日)~10月14日(月)
鉄道博物館(さいたま市大宮)

令和6年10月23日(水)~11月4日(月)

京都鉄道博物館 令和6年11月14日(木)~11月25日(月)
神戸高速鉄道 新開地駅(メトロこうべ中央広場) 令和6年12月 4日(水)~12月18日(水)
つくばエクスプレス 浅草駅 令和6年12月26日(木)~令和7年1月9日(木)
東京臨海高速鉄道 東京テレポート駅 令和7年1月17日(金)~1月31日(金)

入賞・入選作品

過去に実施したコンテストにおいて、入賞・入選した作品をご紹介致します。