鉄道のある風景写真コンテスト

第27回 受賞作品一覧

令和8年9月4日(金)第27回「鉄道のある風景写真コンテスト」審査会を実施しました。

季節を感じる多彩な鉄道写真が多数集まり、皆様のご応募に感謝申し上げます。

入賞・入選作品を以下にご紹介いたします。(敬称略)

グランプリ(国土交通大臣賞)

居安 芳和

『黄金の谷をゆく』

西日本旅客鉄道 山口線 船平山駅~徳佐駅

【審査委員長講評】

 ススキが輝く黄昏のなかを走るSLやまぐち号。遠くに連なる山並みと、それへと導くように伸びる線路の輝きが印象的で、旅情を強く感じさせる一枚です。汽笛の音や煙の匂いまで想像させるほど、五感に訴える要素が豊かに盛り込まれており、見る人の心を自然と引き込みます。とりわけ、この作品の鍵となっているのは、客車を避けながらカーブに沿ってたなびく煙です。思い通りにはならない煙を見事に捉え、その流れに感情移入できることで、まるで自分自身が旅をしているかのような気持ちにさせてくれます。こうした一瞬を逃さないのは、日頃から撮影地に通い続け、機会を積み重ねてきた作者だからこそだと思います。情景の美しさだけでなく、そこから見る人それぞれの物語を想像させる余韻もあり、グランプリにふさわしい作品です。

四季賞

春賞(鉄道・運輸機構理事長賞)

品原 一之

『枝垂れ』

山形鉄道 フラワー長井線 羽前成田駅

【審査委員長講評】

 フラワー長井線の名にふさわしく、山形鉄道沿線の春は豊かな彩りに包まれます。羽前成田駅の大きな枝垂れ桜を捉えたこの作品は、全景をそのまま見せるのではなく、あえて部分的に切り取ることで、見る人の想像を心地よく広げています。その大胆な構図が大きな迫力を生み、作者の優れたフレーミングセンスを際立たせました。カラフルな列車も見事に調和し、フラワー長井線の春爛漫を鮮やかに表現した一枚です。

夏賞(「鉄道の日」実行委員会会長賞)

田中 祐也 

『車内を照らす金魚ねぷた』

弘南鉄道 大鰐線 松木平駅~津軽大沢駅

【審査委員長講評】

 弘南鉄道大鰐線の夏の風物詩、金魚ねぷた列車。車内の照明を落とし、その闇に浮かび上がる金魚ねぷたの明かりはじつに幻想的です。後ろ姿ではありますが、祭り帰りのお子様の興奮冷めやらぬ気配がしっかりと伝わってきます。背景に流れる光は駅の明かりでしょうか。その光の流れが臨場感を生むと同時に、ひとりきりの車内には楽しい一日が終わっていく切なさもにじみます。この情景が見られるのも来年が最後となります。

秋賞(「鉄道の日」実行委員会会長賞)

梅村 栄作

『天空の城』

西日本旅客鉄道 越美北線 牛ケ原駅~計石駅

【審査委員長講評】

 天空の城として有名な越前大野城。城郭が雲海に浮かぶ幻想的なシーンに魅了されます。この作品の評価はそこではありません。城郭が雲海から姿を現す貴重な瞬間に、列車の通過を合わせる究極の一瞬。さらに、雲海が深いと列車が見えなくなるので、この作品は奇跡と言える瞬間であります。ですが、奇跡という言葉で終わりたくありません。この瞬間に出合うために、作者はどれだけ通い、粘ったことでしょう。その奇跡を呼び込むまで通い続けた執念が写っています。

冬賞(国土交通省鉄道局長賞)

網谷 秀幸

『空』

東日本旅客鉄道 磐越西線 山都駅~喜多方駅

【審査委員長講評】

 冬空に広がる雲と、蒸気機関車(SL)のたなびく煙が美しく響き合う作品です。モノトーン表現が湧き上がる雲の迫力とSLの力強さをいっそう際立たせ成功しています。鉄橋の上に列車すべてを見せたくなりがちですが、雲と列車の対比を意識するとともに、背景との調和を踏まえた列車の位置取りはじつに秀逸です。ダイナミックな風景の中から、SLの甲高い汽笛まで聞こえてくるような素晴らしい作品です。

シティ・トレイン・ビュー賞

後藤 貴康

『染まる大都会』

阪急電鉄 神戸線・京都線 大阪梅田駅~十三駅

【審査委員長講評】

 水の都、大阪を直感させる、まさにシティ・トレイン・ビューです。大都会を表現するうえで、ビルの灯がともる日の入り後を狙うのは定石です。そこにできるだけ多くの列車を収めたいと考えるのも自然なことでしょう。しかし、この作品はそうした常道だけでは語れません。ここまで劇的に空が焼ける条件はきわめて貴重であり、その表情は一瞬で移ろいます。その短い時間の中で理想の構図を組み上げ、決定的な瞬間を逃さず捉えることは、並大抵のことではありません。

ジュニア賞

大渕 樹生

『夜汽車の日常』

真岡鐵道 真岡線 車内

 

【審査委員長講評】

 この令和の時代に、昭和ノスタルジーを深く感じさせる作品です。若い頃に味わった列車旅の記憶が、ふと甦ってくるような場面です。作者は16歳の少年で、この情景を「昭和の日常」と表現しています。薄暗い蛍光灯、並ぶ扇風機、そしてクロスシート。そうした一つひとつが、時代の空気を静かに映し出しています。年齢を問わず、人はこうした昭和を思わせる雰囲気に心を奪われるのだと、少しホッとするとともに嬉しくなりました。昭和のあの頃へと心を運んでくれた少年に感謝したいと思います。

入選

饗庭 正志 

『小さな春たち』

小田急電鉄 小田原線 新松田駅~渋沢駅

【審査委員長講評】

 つくしの勢いに春の喜びが感じられる作品です。小田急を代表するロマンスカーGSEが、夕日に美しく輝く時間を見極めた計画性も伺えます。つくしの立体感と列車のきらめきに、逆光撮影の魅力を知り尽くした作者の確かな表現力が表れた秀作です。

山口 誠博 

『仲春の霧を纏い』

西日本旅客鉄道 姫新線 余部駅~太市駅

【審査委員長講評】

 まだ朝の冷え込みが残る時季ならではの美しい情景です。刻々と姿を変える朝霧のドラマに心を奪われながら、列車が現れるまでの不安と期待が交錯していたことでしょう。モノトーンの木々と、それをやさしく包み込む霧が見事に調和し、思わず見入ってしまう作品です。

山岡 佳久

『夕暮れの残響』

東日本旅客鉄道 羽越本線 女鹿駅~吹浦駅

【審査委員長講評】

 晴天と曇天のはざま、さらに昼と夜のはざまが交錯する一瞬に列車を取り入れた秀作です。曇天と白波がつくるモノトーンの世界と、夕日を受けて輝く列車の光の世界とが見事に調和しています。天候を見極めてこの撮影地を選んだ感性が素晴らしいです。

田中 伸芳

『悠々の鉄響』

西日本旅客鉄道 東海道本線(琵琶湖線) 篠原駅~野洲駅

【審査委員長講評】

 モノトーンで貨物列車をシルエットに捉えた作品。そこに浮かび上がる白い花々が美しいアクセントとして効いています。その上品な感性が、通過する貨物列車の足音まで軽やかに感じさせ、列車と花とのあいだの空間が不思議な余韻を漂わせています。

大鳥居 慎司

『光の水辺』

西日本旅客鉄道 おおさか東線 城北公園通駅~JR淡路駅

【審査委員長講評】

 左右対称に据えられた鉄橋と、その姿を映すリフレクション。構図を見るだけで、作者の緻密な眼差しが伝わってきます。コンテナが載っていないことも奏功し、電気機関車までもがシンメトリーの一部となって、実に端正な美しさを見せています。轟音を響かせて通過したはずなのに、画面には不思議な静寂が満ちています。

石井 道之

『春爛漫』

東日本旅客鉄道 磐越西線 山都駅~喜多方駅

【審査委員長講評】

 春のやさしい空気がそのまま伝わってくる作品です。そこに農作業の場面が入ることで、ただ美しい風景というだけでなく、里の暮らしの温度まで感じられます。鉄道も風景の中に自然に溶け込んでいて、この土地の日常をそっと支えているように見えます。

加藤 輝彰

『のぞみをのぞき見』

東海旅客鉄道 東海道新幹線 岐阜羽島駅~米原駅

【審査委員長講評】

 東海道新幹線沿線でこれほど木々に雪が付く風景は意外に貴重です。雪をまとった枝々がつくる世界に隙間を見いだし、そこへ新幹線を巧みに収めることで、視線を自然に導いています。新幹線だけに光が当たった一瞬を確実に捉えた印象深い作品です。

総評

 第27回本コンテストには、昨年を大きく上回る1,265作品、398名の皆様からご応募をいただきました。限られた審査時間ではありましたが、すべての作品を丁寧に拝見いたしました。27年の歴史を重ねてきた写真コンテストならではの水準の高さに、審査員一同あらためて驚かされるとともに、一枚一枚に込められた思いに深く心を動かされながら審査を進めました。

 デジタルカメラが普及しSNSが発達した今、プリント作品のみを応募条件としていることは、時代に逆行しているように映るかもしれません。しかし私はそうは考えておりません。大切な写真データに心を込めて向き合い、一枚のプリントとして仕上げることで、作品は単なるデジタルデータを超え作者の愛情が宿る表現になると思うからです。そして、その思いは不思議なほど作品から確かに伝わってきます。もちろん、その愛情そのものに優劣をつけることはできません。その中で今回入選されたのは、審査員の心により深く響き、強く共鳴した作品だと思います。

 写真コンテストでは、撮影技術だけでは測れない要素が大きな鍵を握ります。今回の入賞作品には、見る人それぞれの心の中で広がっていく、尽きることのない物語が込められているように感じました。

写真家/日本鉄道写真作家協会会長 長根 広和

審査委員

審査委員は、下記の方にお願いしました。(敬称略)

審査委員長

長根 広和(写真家/日本鉄道写真作家協会会長)

審査委員

金子 雄一郎(日本大学 教授)

矢口  正子(㈱交通新聞社 出版事業部 副部長)

岡野 まさ子(国土交通省鉄道局長)

藤田  耕三(鉄道・運輸機構理事長)

入賞・入選作品の展示

鉄道フェスティバル会場(お台場)

令和8年10月10日(土) ~ 10月11日(日)

四国鉄道文化館(愛媛県西条市)

令和8年10月22日(木) ~ 11月 3日(火)

鉄道博物館(さいたま市大宮)

令和8年11月11日(水) ~ 11月23日(月)

神戸高速鉄道(新開地駅)

令和8年12月 1日(火) ~ 12月15日(火)

つくばエクスプレス(浅草駅)

令和8年12月22日(火)~ 令和9年1月 6日(水)

東京臨海高速鉄道(東京テレポート駅)

令和9年1月13日(水) ~ 1月27日(水)

第27回「鉄道のある風景写真コンテスト」の概要

主  催

:

「鉄道の日」実行委員会、独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構

テ ー マ

:

日本の四季折々の「鉄道のある風景」を題材とした作品

受付期間

:

令和8年6月1日(月)~8月31日(月)

受賞作品

:

グランプリ(国土交通大臣賞)          1点
四季賞  春賞、夏賞、秋賞、冬賞        4点
(四季賞の中から、鉄道の日実行委員会会長賞2点、国土交通省鉄道局長賞1点、鉄道・運輸機構理事長賞1点 を選出)
シティ・トレイン・ビュー賞           1点
ジュニア賞(※18歳以下を対象)         1点
入選                      7点

第27回募集要領 .pdf

応募票・作品情報票.doc

入賞・入選作品

過去に実施したコンテストにおいて、入賞・入選した作品をご紹介致します。