第24回(2023年)入賞・入選作品

令和5年9月7日(木)第24回「鉄道のある風景写真コンテスト」審査会を実施しました。

入賞・入選作品は以下のとおりです。(敬称略)

受賞作品一覧

グランプリ(国土交通大臣賞)

山口 徹

『萩の咲くころ』

東日本旅客鉄道 八高線 東飯能駅~金子駅

【審査委員長講評】

青空に浮ぶ白い雲、空にかかる萩の花を画面いっぱいに撮りこんだダイナミックな作画構成には感服しました。一見なんでもない光景みたいですが、この作品を見た時、一瞬で猛暑が続いた今年の暑い夏を体感した身体に、爽やかな秋の風を感じることができました。

四季賞

春賞(国土交通省鉄道局長賞)

奥谷 忠浩

『最後の春、記憶のなかに』

北海道旅客鉄道 根室本線 金山駅~東鹿越駅


【審査委員長講評】

やさしい日差しを浴びた桜の木と淡い新緑が、山間の中でひときわ美しく輝いています。その中、最後の春を飾るかのように国鉄色の列車が彩りを添えてくれたことで、作者の根室本線への思いをすべて叶えてくれたような見事な作品になりました。

夏賞(「鉄道の日」実行委員会会長賞)

宮原 千逸 

『朝の散歩道』

伊勢鉄道 徳田駅~中瀬古駅

【審査委員長講評】

素敵な散歩道ですね。S字カーブになっている散歩道をしっかりと配置したことで画面全体がバランス良く構成されています。気持ちいい朝の空気感を満喫することができました。まさに「早起きは三文の徳」を写真にしたような作品になりました。

秋賞(鉄道・運輸機構理事長賞)

小林 航

『大村の黄昏時』

九州旅客鉄道 西九州新幹線

新大村駅~嬉野温泉駅

【審査委員長講評】

西九州新幹線が開業してから1年経ちました。大村湾を望む有名な撮影ポイントですが、日没後の微妙な時間帯にチャレンジした狙いがいいですね。         

この時間帯は露出を決めるのが一番難しい中、見事に決まりました。

夕焼け空のグラデーションが美しい作品になりました。

冬賞(「鉄道の日」実行委員会会長賞)

塚本 浩行

『白い世界』

東日本旅客鉄道 奥羽本線 弘前駅

【審査委員長講評】

まさに一幅の絵画と言えます。しかしよくこの場所に気づきましたね。まだまだ何気ない日常の中に新しい発見があるのですね。この作品を目にしたとき定点撮影したら面白いのではと思いました。四季・行きかう車両・時間帯など額縁の向こうを楽しめることでしょう。

シティ・トレイン・ビュー賞

渡辺 尚作

『未来への試走』

東日本旅客鉄道 東北新幹線

仙台駅~白石蔵王駅

【審査委員長講評】

次世代新幹線E956形試験車両。超ロングノーズの「アルファエックス」が風を切って360キロ超でみちのく沿線を走り抜ける姿はカッコイイですね。

昼間は中々撮影する機会がありませんが、作者は夕方の都会の明かりを背景にアルファエックスの疾走感を見事に表現してくれました。

ジュニア賞

岡田 頼和

『駅まで一歩』

松浦鉄道 東山代駅

【審査委員長講評】

列車と駅舎を対比させる構図は画面を安定させ、安心して見ることができます。

作者の素直な気持ちが伝わってくる作品になりました。また、タイトルにある「駅まで一歩」には、駅舎が住宅になっているとのことなので、もしかしたら岡田君も、朝の時間ギリギリまで寝ていたくてこのタイトルにしたのでは?

入選

工藤 寿

『春枝垂れ』

秋田内陸縦貫鉄道  米内沢駅~桂瀬駅

【審査委員長講評】

枝垂れ桜のボリューム感といい、画角の中にバランスのいい場所に列車を配置する気配りなど、いつも作者のこだわりとロケハン力の成果を活かしたフレーミングには感服させられます。まだまだ、豊かな想像力を持って撮影地を見直せば新しいアングルと出会うことができるという、お手本作品です。

野口 茂樹

『花火』

東日本旅客鉄道 磐越西線 日出谷駅~鹿瀬駅

【審査委員長講評】

絶妙な時間帯に繰り広げられた眼下の花火大会を特等席で見物できたのですね。山間の村落に明かりが灯る中、蒸気機関車の煙が形よくたなびかせながら走りきたタイミングに合わせるかのように、見事に打ち上げ花火が花開いたのです。見るものを歓喜させてくれる気持ちのいい俯瞰写真になりました。

三浦 星夢

『歴史を刻む月宵』

江ノ島電鉄 鵠沼駅~湘南海岸公園駅

【審査委員長講評】

ウルフムーンの明かりが300形の車内を照らしているかのような暖かい作品になりました。車内の乗客の皆さん一人ひとりの様子も穏やかで作品を見るものを「ホッ」とさせてくれます。作者のウルフムーンと300形とのコラボへの思いを、ご自身の持つ行動力と撮影技術で見事に完成させたのです。

山田 徹

『夕映え』

天竜浜名湖鉄道 戸綿駅~遠州森駅

【審査委員長講評】

この時期の夕日は目に見えて落ちていきます。列車の通過時間を横目にハラハラドキドキしながら待つ作者の気持ちが伝わってくるようです。何とも言えない緊張感が鉄道風景写真の醍醐味でもあります。撮影地で一喜一憂しながら撮った作品は格別です。夕陽の美しいグラデーションが微笑んでくれているようです。

椛澤 敬子

『花列車』

東日本旅客鉄道 磐越西線 野沢駅~山都駅

【審査委員長講評】

のどかな風景の中、淡くてきれいな花大根が咲き誇るお花畑を横目に、煙をたなびかせながら走る蒸気機関車も可愛く見えます。作者はきっとお花が大好きなのでしょう。これからも四季の可愛いお花畑を見つけて、鉄道のある風景写真を楽しんでください。

辻本 一夫

『寒暁』

東日本旅客鉄道 釜石線 新花巻駅~似内駅


【審査委員長講評】

この作品を見るとあらためて朝と夕方の時間帯を大切にしなければ勿体ないと感じさせられます。「鉄道のある風景写真」では鉄道を感じさせる何かが必要です。列車であれば、日の出・日の入りを季節ごとに確認し、撮りたいイメージに合う列車を狙うのです。宝の山は朝と夕方のトワイライトタイムにチャンスがあるからです。

草場 義昭

『ホームから夕景望む』

九州旅客鉄道 大村線 千綿駅

【審査委員長講評】

大村湾に沈む夕日を改札越しに楽しめることで有名になった千綿駅です。

この作品を見ていると、いくつもの物語が生まれそうな気がします。今回も美しい夕景を改札口越しにフレーミングされましたが、その中にホームを歩く一人の女性のシルエットを撮りこんだことで、画面に動きを出すことができました。

審査委員

審査委員は、下記の方にお願いしました。(敬称略)

審査委員長

猪井 貴志(写真家)

審査委員

中村 直美(㈱交通新聞社常務取締役)

竹内 健蔵(東京女子大学教授)

村田 茂樹 (国土交通省鉄道局長)

藤田 耕三 (鉄道・運輸機構理事長)

入賞・入選作品の展示

第30回鉄道フェスティバル会場(東京・お台場) 令和5年10月8日(日)~10月9日(月)
鉄道博物館(さいたま市大宮) 令和5年10月18日(水)~10月30日(月)
徳島駅クレメントプラザ4階クレメント広場 令和5年11月 3日(金)~11月5日(日)
京都市営地下鉄 烏丸御池駅(御池ギャラリー) 令和5年11月14日(火)~11月27日(月)
神戸高速鉄道 新開地駅(メトロこうべ中央広場) 令和5年12月 5日(火)~12月18日(月)
つくばエクスプレス 浅草駅 令和5年12月27日(水)~令和6年1月9日(火)
東京臨海高速鉄道 東京テレポート駅 令和6年1月18日(木)~1月31日(水)

受賞作品一覧

入賞・入選作品