海外業務実績の概要(2024年度)
令和6年度
1.海外高速鉄道調査等業務
海外インフラ展開法及び同法に基づく基本方針に従い、関係府省、我が国事業者等と相互に連携を図りながら、以下のとおり海外高速鉄道調査等業務を適切に行いました。
インド高速鉄道計画
インド高速鉄道計画について、国土交通省等の関係者との緊密な連携の下、(一社)海外鉄道技術協力協会(以下「JARTS」という。)からの業務受注によりインド高速鉄道信号・通信技術支援サービスに関する教材作成等を行いました。また、JARTS の要請により講師 3 名を派遣し、インド軌道建設業界への教育訓練等を実施しました。
国土交通省等の要請により、JRTTの整備新幹線の実績に基づく監査体制、内容・方法などに関する情報共有及び技術支援を行いました。
JICC(日本コンサルタンツ(株)を中心としたコンソーシアム)が実施する軌道工事の施工監理業務に職員 2 名が従事し、技術支援を行いました。
(独)国際協力機構(以下「JICA」という。)の要請により、講師 1 名を派遣し、設計支援ワークショップにおいて講演を行いました。
令和 3 年度に東日本旅客鉄道(株)及び(株)海外交通・都市開発事業支援機構(以下「JOIN」という。)との共同出資により設立した日本高速鉄道電気エンジニアリング(株)(以下「JE」という。)に対して、役職員 6 名を派遣し、技術支援を行いました。
出資を行った JE 事業については、事業の進捗状況や資金収支等の把握及び分析を行い、海外高速鉄道調査等業務に係る出資に関する第三者委員会(委員長:竹内健蔵東京女子大学教授)に諮問を行うなど、適切にモニタリングを実施しました。
2.国際協力業務
(1)海外への専門家派遣及び各国研修員等の受入
令和 6 年度の専門家派遣、研修員受入の実績については専門家派遣 20 人、研修員等受入 38 人でした。
専門家派遣数の推移(令和2年度~令和6年度)
※令和2年度・3年度は、コロナ感染拡大に伴い派遣を見合わせた。
年 度 | 2年度 | 3年度 | 4年度 | 5年度 | 6年度 |
専門家派遣数(人) | 0 | 0 | 20 | 30 | 20 |
研修員等の受入数の推移(令和2年度~令和6年度)
※令和2年度・3年度は、コロナ感染拡大に伴い研修員等の受入を見合わせた。
年 度 | 2年度 | 3年度 | 4年度 | 5年度 | 6年度 |
研修員等受入数(人) | 0 | 0 | 25 | 59 | 38 |
(2)国際学術会議等への参加
国際学術会議等へ役職員が参加しました。
会議等名 | 主催者等 | 開催国(都市) | 時期 | 発表数(件) |
世界トンネル会議 | 国際トンネル協会 | 中国(深セン) | 令和6年4月 | 1 |
フィリピン土木学会国際技術会議 | フィリピン土木学会 | フィリピン(マニラ) | 令和6年10月 | 1 |
タイ鉄道ワークショップ | 運輸総合研究所 | タイ(バンコク) | 令和7年1月 | 1 |
(3)鉄道分野における規格の国際標準化
平成22年4月に、(公財)鉄道総合技術研究所内に「鉄道国際規格センター」が設立され、鉄道技術の国際標準化に戦略的に取り組んでいます。
国際規格策定の国際標準化機構/鉄道分野専門委員会(以下「ISO/TC269」という。)の国内委員会・国内作業部会、国際電気標準会議/鉄道用電気設備とシステム専門委員会(以下「IEC/TC9」という。)の国内委員会・国内作業部会に職員 8 名が参加し、国際規格に関する日本原案の作成等に貢献しました。
ISO/TC269委員会・作業部会等(令和6年度JRTT職員参加)
区 分 |
名 称 |
国内委員会 |
鉄道分野 |
分科委員会 |
インフラストラクチャ |
国内作業部会 |
バラストレス軌道 |
軌道品質評価 |
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鉄道土工 |
IEC/TC9の委員会・作業部会等(令和6年度JRTT職員参加)
区 分 |
名 称 |
国内委員会 |
鉄道用電気設備とシステム |
国内作業部会 |
き電シミュレータ |
交流電力変換装置 |
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電力システム |
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変電所用コンバータ |
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中立セクションシステム |
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電力SCADA |
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UGTMS |
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架空電車線路 |
(4)海外関係機関との技術交流等
JRTTの技術力や経験を活用し、スウェーデン、タイ及びイギリスとの技術交流を行いました。
・スウェーデン
スウェーデンとの技術交流においては、令和5年度の同国の交通インフラ計画に関する日瑞鉄道協力会議等でスウ
ェーデン側が関心を示したスラブ軌道や雪害対策について、意見交換を行いました。
・タイ
タイとの技術交流においては、9 月にタイ鉄道技術研究開発機構が国土交通省を訪問した際に、JRTTより業務紹介や構造計画についての説明を行った。併せて、北海道新幹線でのトンネル及び明かり工事の現地視察において、施工方法、品質管理方法など幅広い分野での情報交換を行いました。
・イギリス
イギリスとの技術交流においては、12 月にロンドンで開催された日英鉄道協力会議に参加し、JRTTからは、RAILFORCE に関する講演を行い、JRTTの業務の紹介を行いました。
(5)人材確保、育成
海外高速鉄道調査等業務等の遂行に必要な技術力や経験の向上及び承継のため、研修及び国際業務を行う機関との人事交流を実施し、必要な人材の確保や育成に取り組みました。
令和6年度における研修及び国際業務を行う機関との人事交流の実績は以下のとおりです。
○研修(JRTT実施)
- 国際業務に係る知見を広めることを目的とした若手職員向け研修(研修出席人数 36 名)
- コンサルティング業務等実践的な内容を盛り込み国際業務に係る知見の深度化を図ることを目的とした若手・中堅職員向け研修(12 名)
- 英語力向上を目的とした国際業務に従事する職員向けの英会話研修(5 名)
○研修(他団体実施)
- JARTS が実施する海外インフラ展開人材養成プログラムに国際業務に従事する職員が参加(1 名)
- 国土交通大学校が実施する国際建設協力研修に、国際業務に従事する職員が参加(1 名)
- (一社)国際建設技術協会が実施する海外インフラ展開人材養成研修に国際業務に関心の高い職員が参加(2 名)
○人事交流
- 国際業務を行う機関との人事交流として、国土交通省、JICA、JARTS 及び(一財)運輸総合研究所へ出向(各 1 名)