環境に配慮した駅づくり
環境に配慮した駅づくり
近年、地球温暖化対策や地元からの要望などにより、一般建築物はもとより、駅舎においても「木材を利用する」ことが求められています。また、技術の発達に伴い、木材利用の可能性・選択性が従来に比べてはるかに拡大しています。
地球温暖化と木材
木は温室効果ガスのひとつであるCO2を吸収し、酸素(O2)を放出し、その結果、炭素(C)を体内に長期間「貯蔵・固定」することになります。これを一般に「炭素固定」と言いますが、これによって、CO2削減に寄与することが出来ます。ですから、間伐などを適切に行うことなどによって「豊かな森林を育てる」ことや、その間伐材や国産材といった「木材を利用する」ことは、地球温暖化防止に貢献することになります。
地元の要望
近年、駅舎において木材を利用して欲しいという「地元からの要望」が増えてきています。それは、自治体としての責務、すなわち、地場産業の活性化、「地元らしさ」のアピールなどが大きな理由でしょう。広義においては、「駅舎は地元のもの」とも言えますから、コストなどの諸問題はあるにせよ、できるだけこれらの要望に応えていくのも、公共機関としての機構の責務のひとつであると考えています。
間伐材を使った木造上家
高知県中央部から東部を結ぶ土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線を例に、間伐材利用について紹介します。
ごめん・なはり線は海岸沿いを走るため、塩害対策を行う必要があり、様々な検討の結果、県産の杉、それも森林育成のための間伐により不要となった材料を活用することにしました。
ただし、腐朽菌やシロアリの被害を受けると強度が極端に落ちてしまいますので、防腐処理剤を木材に加圧注入しています。木材を使用することで、利用者に温もりを感じさせる旅客上家となっています。
※「未利用資源である間伐材を鉄道駅施設に利用」として平成14年度文部科学大臣賞を受賞しました。
間伐材を使った旅客上家
地元の要望に応えて
東北新幹線(八戸・新青森間)の新青森駅、七戸十和田駅では、天井ルーバーなど、主に駅構内の仕上材に木材を使用しています。地元の強い要望に応え、県産材である「青森ヒバ」をふんだんに使用しており、これにより、空間に温かみを与えることに成功しています。
また、九州新幹線(博多・新八代間)の新玉名駅においては、ラチ内外コンコースの天井リブ(難燃)、トイレ(ラチ内)前壁ルーバー(不燃)、待合室(ラチ外)の床、ラチ内コンコースの柱周りの化粧リブ(難燃)など、主に仕上材に木材を使用しています。東北新幹線(八戸・新青森間)の2駅と同様に、地元の強い要望に応えるかたちで様々な部位に木材を使用しました。
七戸十和田駅の天井ルーバー
(青森ヒバ)